■犬を叱るということ~罰の副作用について~ 

2019/10/08

罰を使った時の副作用として、以下のような副作用が挙げられます、という記事を見かけたので、解説してみたいと思います。

 

・罰を使うと飼い主さんを怖がるようになる。
・罰を使った時の状況と行動を、一緒に結び付けてしまう。☞今ひとつ良く分かりません。
・代替となる行動が出る。
・無気力になる。

 

などだそうです。

私の経験上、確かにこのような副作用が出ることが稀にあります。ただし、上に挙げたもの全てではありません。

飼い主さんを怖がるようになるという面では、普段の生活でコミュニケーションが取れてさえいれば、↑のようなことは起こりません。

例えば、私が出張トレーニングに行って、出張先へ行く度に叱ったり、罰を使うような人間であれば、犬は私のことを怖がり、私を見ただけで逃げていくことでしょう。

 

でも、普通の飼い主さんであれば、ご飯をあげたり、触ったり撫でたり、散歩へ行ったりと24時間叱ることだけではありませんよね!?

散歩に行ったり、遊んだりして楽しい時間もある訳です。そうであれば、叱ったり、罰を使った直後には、
多少飼い主さんに対して怖がる様子を見せることはありますが、ずっと怖がったり嫌いになるなんてことはありません。

同じように犬を名前で叱ってはいけないと、よく言われますが、僕は名前で叱っています。叱る時は「大ちゃん!!!"(-""-)"」
そして、遊ぶ時や散歩に行く時に名前を呼ぶ時は「大ちゃ~ん(^^♪)」という感じです。叱られた時は、耳が倒れて本当に怖そうにしますが、
「大ちゃ~ん(^^♪)」と呼んだ時は、尻尾を振って飛んで来ます。怖いけど大好き、大好きだけど怖いというのが、バランスが取れてちょうど良いと思います。


僕はいまだに犬を名前で叱ってはいけない、というのがよく分かりません。
人間の子供も名前で叱りますよね。まして、多頭飼いの場合は、どうするんでしょうね?

 

また、罰を与えると「無気力になる」という副作用が挙げられることがあります。一応、専門用語では、学習性無力感とか学習性無気力と呼ばれています。

どのような状態かというと、何をしても無駄だと思い込み、甘んじて叱られたり、罰を受け入れるような状態です。ですが、今までの私の経験の中で、

叱ったり、罰を使ったからといって、無気力になった犬は一頭もいません。それは何故かというと、叱る行動や罰を使う行動が一貫しているからです。
と言うことは、犬はそのような行動をしなければ叱られることはないという選択肢を選び、罰を回避することが出来ます。


では、何故、無気力になるのかというと、回避する選択肢がないからなのです。要するに、むやみやたらに叱ったり、罰を使うとそのような症状になる可能性はあります。
何をしても叱られる可能性があるわけですから。そうすると、回避する選択肢が分からずに、甘んじて罰を受け入れる術しか無くなるわけです。

なので、犬にとってどのような行動をしてはイケないのか、それがしっかりと伝わるように叱るのであれば、無気力のような症状に陥ることはありません。

 

どちらにしても、善悪の概念がない犬に何を叱ったとしても、理不尽な事ばかりだと私は思っています。
そして、たとえあなたが短気を起こして叱ったとしても、私はそれでいいとも思います。

なぜなら犬はあなたの「家族」なのですから。家族であれば、些細なことで親子喧嘩も夫婦喧嘩もするでしょう。でも、それが家族なのです。


もし、あなたが愛犬を叱って、それが理不尽だと後から思われることであってもよいのです。なぜなら、いつか来る別れの日にあなたは愛犬にこう謝るのです。
「ごめんね・・・あの時あんなことで叱って・・・」と。それでもあなたの愛犬は、そんなことさえ覚えていないでしょう。

なぜなら、その別れの瞬間、犬にあるのはあなたに対する変わらぬ愛情と感謝だけなのですから・・・。