しつけと訓練の違い

2022/07/12

現在、日本におけるしつけの方法は、警察犬の訓練が基盤となっています。警察犬訓練所における基本的な訓練とは、
スワレ、フセ、マテ、コイ、ツイテの5つの行動を教えることです。訓練は服従訓練と呼ばれ、絶対的な主従関係が求められます。
そして、この服従訓練に見られる代表的なルールとして、

 

・飼い主より先に歩かせない   

・食事は飼い主が先で犬は後                                                       
・玄関を出るときは飼い主が先 

・犬と一緒に寝てはいけない       

 

などがありますが、これらのことは、家庭犬のしつけとは何も関係ありません。また、「甘噛みをしたらマズルをつかんで叱る」

「仰向けにして叱る」「犬が吠えたときに、音の出る缶を投げる」なども、この訓練から来ています。


そもそも、この服従訓練の目的とは、人間の仕事を手伝う使役犬になるためのものです。訓練の時間は限られているので、
常に緊張感と集中力が求められます。指示の出し方も、「座れ!!」「待て!!」と厳しく命令調で言わなければなりません。

 

警察犬の訓練における主従関係とは、人間の世界で言えば、師匠と弟子になります。
しかし、使役犬として、指示された命令に忠実に従わせる家畜化としての訓練と、
家庭犬として、共に暮らすための家族化としてのしつけは、まったく別なものなのです。


家族の一員として育てる家庭犬のしつけに、主従関係は必要ありませんし、緊張感も集中力も必要ありません。
家庭犬の暮らしに必要なことはリラックスです。

その家庭犬のしつけとは、お散歩で人や犬に向かって吠えないとか、拾い食いをしないとか、他の犬と上手に挨拶ができるとか、
日常生活でのやっても良いことや、やってはいけないことのルールを、しつけるのではなく教育することです。


その犬の教育には、飼い主の正しい知識、そして根気と時間が求められます。
ヴィッセが考える犬のしつけとは、文化も習慣もそして、コミュニケーションの手段が違うヒトとイヌが
快適に暮らし理解しあうためには、犬だけではなく、飼い主と犬が一緒に学び、共に成長していくことが大切なことだと考えています。

 

※写真は、左から大治郎、幸太郎、杏です。毛布に隠れて分かりませんが、真ん中で僕が寝ています。