家庭犬のしつけって何?~しつけの歴史~

2022/06/02

一般的な犬のしつけの共通のイメージとしては、「スワレ」や「マテ」「フセ」などの動作を教え、

命令して言うことを聞かせることではないでしょうか。そして、この「犬のしつけ」とも思われている、

「スワレ」や「マテ」などの動作を教えることを、「服従訓練=オビディエンス」と呼んでいます。


この服従訓練というのは、もともとヨーロッパの使役犬の訓練から生まれたものです。

警察犬や盲導犬、介助犬など、人間の仕事を手伝う作業犬たちの仕事場は人間社会です。

その人間社会で好き勝手な行動をしていたら、到底作業犬としての仕事はつとまりません。


ですので、作業犬としての様々な訓練の前に、指示された命令に忠実に従うことができるまで、徹底的にこの服従訓練を行うという訳です。
欧米では犬のしつけのことを、「behavior(ビヘイヴィア)=行動、振る舞い」と呼んでいます。

外国人の方に、「愛犬に何を望みますか?」と質問すると、必ず 「I want my dog to be a well behavior dog.」と答えます。

要は、お行儀の良い子になって欲しいということです。特にヨーロッパでは、ほとんどの国が犬と一緒に電車にもバスにも乗れますし、
レストランやカフェにも犬と一緒に入れます。当然、そこで犬に求められるものは、「マナー」ということになる訳です。


そして、このお行儀とは、外でのお行儀の良い子を求められているので、電車やバスの中、レストランなどのどんな場所でも、
お行儀が身につくまで訓練をするのです。訓練は「初級」「中級」「上級」に分けられていて、1年近くにわたって行われます。


飼い主と歩く時は、飼い主の横にピッタリと横について歩きますから、お散歩の時に他の犬に吠えかかるということもありませんし、
レストランでは、飼い主が食べ終わるまで、テーブルの下で伏せてじっと待っています。なんだか盲導犬の様ですね。

もっとも盲導犬との違いは、段差で止まる、カーブを曲がる、障害物を避けること以外は、大きな違いはありません。

欧米の犬のしつけには、あるべき姿の共通のゴールがあるのに対して、日本の犬のしつけには、それぞれの家庭の生活環境が違うので、
それぞれのゴールがあり、あるべき姿の共通のゴールがないと言えるでしょう。


日本における現在の家庭犬のしつけは、犬が庭に鎖で繋がれ、残飯を食べさせられていた昭和のしつけがベースになっています。
その昭和のしつけとは、「おすわり」「お手」「おかわり」などの「芸」を教えることでした。

 

しかし、犬が庭からリビングに招かれ、「家族として共に暮らす」ようになった今、
昭和のしつけでは、無駄吠えなどの問題行動が起きた時に、まったく役に立たないのです。


犬が人間社会で暮らすということは、私達が文化も習慣も違う外国で暮らすことと同じことです。
ヒトとイヌはコミュニケーションの手段が違います。そんなコミュニケーションの手段が違うヒトとイヌが

快適に暮らし理解しあうためには、コミュニケーションの取り方をお互いに学ぶことが大切なことなのです。


■しつけ=やっても良いことと、いけないことを教えること。⇒教える側に方法が確立されていない。 
■訓練=スワレやマテなどの動作を教え、どんな場所でもできるようにすること。⇒日本では、家ではできても、
    外ではできないということが多い。(できなくても、特に問題はない)