犬のしつけ教室・出張レッスンドッグスクール ヴィッセ~お客様の声・ブログ編~

2018/04/13

外出から帰宅したとき、留守番をしていた飼い犬が興奮気味にこちらに向かってきたら、
一般的にはどう対応するでしょうか。
 
あずきに噛まれたことがある私は、そんなとき、「わっ、なに?なに?わかったわかった、よし、ダメ、まて」と、
意味のわからない反応をして怖気づくばかりでした。なぜなら、「噛みつかれる?!」真っ先にそう思うからです。
 
そして、何かを期待するような様子のあずきに対し、
私は、手っ取り早くおやつをあげて、あずきの気を逸らそうとします。
 
しかし、おやつをあげようとした瞬間、あずきは怒り、私の手に噛みつくのです。
私はあずきの行動が理解できず、「おやつをあげるのが遅かったのだ」と考えました。

 

「あずきは視界に入ったおやつやゴハンが待てない犬。だから急いで準備して素早く出ださなくては」と、
追い詰められるような感覚に陥りました。
 
それからも、飼い主帰宅 →あずき興奮 →おやつ →あずき怒るという流れを何度か経て、
ようやく私は、「あずきは本当におやつが食べたくて近寄ってくるのだろうか」という疑問を持ったのです。
 
そして、ある日私は、近寄ってきたあずきにおやつを与えるのではなく、手を差し出してみました。
噛みつかれる痛みとショックを何度か経験している私にとって、この行動は勇気が必要でした。
 
するとあずきは、差し出した私の手のにおいを嗅ぎ、顔をすり寄せてきたのです。
やさしく撫でてあげると、あずきは満足そうに落ち着きました。

長い留守番をしていたあずきは、帰宅した私に何よりもまず
「ただいま、留守番ありがとう」と、撫でてほしかったのだと気づきました。
 
そうして日々観察していると、あずきが撫でてほしくて近寄ってくるのは、私の帰宅直後だけではないことに気づきました。
家事の合間にひと息ついたとき、長いTVドラマを見終わったとき、待っていたかのように近寄ってきます。
 
私が耳の後ろを撫でると、あずきは目を細めて気持ちよさそうにします。私にとっても心地よい時間です。

それまでの私は、噛まれないように、怒らせないようにという意識が強いあまり、
おやつを使ってあずきをごまかすことしか考えられなかったのです。
 
このことから私は、あずきと生活する上で問題や悩みができたとき、
それは、更にあずきを知る良い機会なのだと捉えられるようになりました。

そして、おやつがなくても犬と心がつながるということを気づけました。おやつを与えるのではなく、撫でてみようか。
何か別の方法を試してみよう。基本に返ってみよう。今日の散歩で新しい発見があるかもしれない。
 
うまくいかない場合もありますが、問題が起ったときの対応として、
『一歩踏み込んでみる』という勇気も選択肢の一つだと思います。


糸山先生が「あずきに問題が起こって良かったですね」と、おっしゃった意味が今ならよく理解できます。